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障がい者施設 9割研修せず グループホーム 自治体、質確保不十分


障がい者施設 9割研修せず グループホーム 自治体、質確保不十分 障害者グループホーム運営事業者への研修などの状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 障害者のグループホーム(GH)を開設する事業者に対し、指定権限を持つ自治体の9割は事前の研修を実施していないことが、厚生労働省の委託調査で分かった。開設後の質確保・向上の取り組みも、6割近くの自治体は実施していない。
 障害者のGHを巡っては、各地で約100カ所を運営する大手「恵」で不正が発覚するなど、福祉の経験や知識のない事業者が利益目的で参入し、トラブルになるケースが各地で続発。調査報告書は質の確保に向けた取り組みを国や自治体に求めている。
 調査はPwCコンサルティングが昨年秋、全国の都道府県、政令市、中核市など180自治体に実施。117自治体から回答を得た。
 事前の研修はGH開設の要件ではなく、自治体も実施が義務付けられているわけではない。89・7%は実施していないが、その半数は「必要性を感じている」と回答。うち76・9%が「実施のノウハウがないため」と理由を答えた(複数回答)。
 開設後の質確保に向けた取り組みについては、57・3%が「実施していない」と回答。GHの質に関する課題(複数回答)を尋ねると、「新規参入事業者の障害者・障害福祉に関する理解や知識が不十分」が70・1%で最も多かった。「開設前に自治体が新規事業者を評価する仕組みがなく、サービスの質を把握できない」との回答も67・5%あった。
 調査報告書は(1)国が標準的なカリキュラムを作り、自治体に研修を促す(2)開設前の審査や開設後の指導・監査を見直す―ことを求めている。