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飯塚事件 再審認めず 92年女児殺害 新証言「信用できぬ」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 福岡県飯塚市で1992年、小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、2008年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚=執行時(70)=の第2次再審請求審で、福岡地裁は5日、裁判をやり直す再審の開始を認めない決定をした。男女2人の新証言を基に元死刑囚が犯人ではないと訴えた弁護側に対し「証言は信用できない」と判断した。 (17面に関連)
 弁護側は不服として即時抗告する方針。死刑執行後に再審が認められた例はない。
 新証言をした1人は、確定判決が女児の最後の目撃者と認定した女性。実際目撃したのは別の日だったが捜査機関に押し切られたと証言した。鈴嶋晋一裁判長は決定理由で「捜査機関が無理やり調書を作成したとは考えられない」と否定した。
 女性の当時の供述調書について、作成は事件発生から11日後で、捜査も流動的だったと言及。他の目撃者がいる可能性がある中で「女性の記憶と異なる調書を作成するのは必要性に欠ける」と指摘した。
 被害女児に似た2人を乗せ、元死刑囚と外見が違う男が運転する車を事件当日に見たとの男性の新証言も、内容が不自然で信用性に乏しいと評価した。
 その上で「元死刑囚が犯人であることについて、高度の立証がされている結論は揺るがない」と認定した。
 確定判決によると、92年2月20日朝、登校中の女児2人=いずれも当時(7)=をワゴン車に乗せて連れ去り絞殺。遺体を福岡県甘木市(現朝倉市)の山中に遺棄した。
 元死刑囚は捜査段階から一貫して否認したが、目撃証言や血痕のDNA型鑑定といった複数の状況証拠を総合評価し、判決は元死刑囚が犯人と認定。第1次再審請求前に死刑執行された。
 福岡地検の細野隆司次席検事は「適切な判断をされた」とコメントを出した。