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共働き里親 支援強化へ こども庁 保育の優先利用周知


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 総務省行政評価局は7日、親元での養育が困難となった子どもを引き取る里親への支援が不十分だとして、こども家庭庁に改善を勧告した。同庁は、里親世帯が保育所を優先利用できるよう自治体への周知を徹底する方針を明らかにした。
 虐待や親の貧困などを理由に社会的養護が必要な子どもは、2021年度末で全国に4万1773人。施設で過ごすケースが多く、里親など政府が推奨する家庭的な環境で養育されている子どもは約2割となっている。
 里親登録の世帯数は年々増加し、厚生労働省の集計では21年度は1万5607世帯で、12年度の1・7倍。ただ、実際に子どもを受け入れた世帯は約3割の4844世帯にとどまる。評価局は理由の一つとして、共働きの登録者が保育所の確保に不安を抱えているためだと指摘した。
 評価局が23年3月~24年6月に児童相談所29カ所に行った調査では、里親登録している2690世帯のうち半数を超える世帯が共働きだった。共働きの世帯の方が「養育したことがない」割合が高かった。全国2735世帯の里親を対象にした調査では、受け入れを断念した経験のある共働き世帯の約2割が「保育所入所時の点数加算がない」ことを課題に挙げた。評価局は「里親の保育所優先利用が現場に浸透していない実態がある」と指摘した。