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ホームで子育て容認 障がい者、新居確保まで


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省が、グループホーム(GH)での障害者の子育てを「想定していない」としていた従来の方針に加え、新たな住居が見つかるまでの対応として、子どもとの同居は「差し支えない」と容認する見解を示したことが分かった。北海道のGHで障害者が不妊処置を受けていた問題に関連し、全国の自治体に通知した。関係者が7日、明らかにした。
 障害者の子育て環境を向上させる狙いだが、GHが子育てを援助しても公費による手当てはなく、支援拡充が求められそうだ。
 障害者総合支援法はGHに入居できる障害者を原則18歳以上と規定。通知は5日付で、子どもと同居して支援を受けることは「基本的には想定していない」との従来方針を改めて明記した。その上で、支援態勢が整った住まいが見つかるまでの間は「子どもとの同居を認めても差し支えない」とした。
 ただ実際に同居するには、他の入居者の理解を得られるかどうかなどGHの運営状況によって対応が分かれるとみられる。
 通知は「障害者の希望を踏まえた生活の実現に向けた支援が必要」と指摘。養育環境の確保に向け(1)新たな住まい探しを支援する(2)子育て支援の関係機関と連携する―を求めた。他の入居者の支援に支障が出ないようにすることも要請した。障害者がGH以外の住まいで子どもと同居する場合は、障害福祉サービス事業者が定期訪問する「自立生活援助」の活用を呼びかけた。
 障害者の子育てを巡っては、北海道の社会福祉法人「あすなろ福祉会」のGHで結婚などを希望する障害者が不妊手術や処置を受けていた問題が2022年に発覚。厚労省は23年1月、障害者の出産や子育てへの支援を求める通知を出した。さらに全国のGHを対象に実施した調査で、障害者の出産や子育てに関する支援が手薄な状況が明らかになった。