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「隠蔽」主張の前部長起訴 鹿児島県警 本部長に長官訓戒


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鹿児島県警の情報漏えい事件で、警察庁は21日、県警トップ野川明輝本部長の隠蔽(いんぺい)が指摘された枕崎署員による盗撮事件の捜査に関し、きめ細かい確認と指示を現場にしていなかったとして、野川本部長を長官訓戒の処分とした。野川本部長は記者会見を開き、隠蔽については改めて否定した。長官訓戒は懲戒処分より軽いが、本部長が受けるのは異例。 (7面に関連)
 鹿児島地検は同日、国家公務員法(守秘義務)違反の罪で、野川本部長の隠蔽を主張する前県警生活安全部長本田尚志容疑者(60)を起訴した。本田被告は同日保釈された。勾留先の鹿児島中央署で報道陣に一礼したが取材に応じなかった。
 鹿児島県公安委員会は、野川本部長が隠蔽を指示した事実は見当たらないとのコメントを発表。一方、各幹部が部下との意思疎通を十分に図り、組織として報告や相談がしやすい環境を醸成するよう県警に求めた。
 盗撮事件の認知から逮捕まで半年近くかかったことについて野川本部長は「私がこまめに確認していれば十分な配慮ができたかもしれないが、それができず人員の少ない中、(捜査員が)頑張ってしまった」と述べた。
 起訴状によると退職後の3月28日ごろ、2月14日付で、生安部長名で作成された、警察官によるストーカー事件の捜査経過や被害者の氏名などが記載された書面のうち、作成日付や作成名義を除いた部分の写しを外部に郵送し、4月3日ごろ、受領させたとしている。
 野川本部長は、公表を望んでいないストーカー事件の被害者の個人情報が含まれており「公益通報ではない」と判断したと述べた。
 本田被告は県警の不祥事についてまとめた文書を札幌市のライターに郵送したと認めている。ストーカー事件被害者の個人情報を伝えた理由について、ライターを信用させるためだったとし「本当に申し訳ないと思っている」と謝罪するコメントを逮捕後、弁護士を通じて発表した。