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被害証言の信憑性高める 南城市長セクハラ疑惑 矢野恵美氏(琉球大学ハラスメント相談支援センター長)


被害証言の信憑性高める 南城市長セクハラ疑惑 矢野恵美氏(琉球大学ハラスメント相談支援センター長) 矢野恵美氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 今回の調査でハラスメントを受けた、見聞きした、相談を受けたとした人の合計は3割近くだった。多いと思われるかもしれないが、連合が2019年に行った「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」でハラスメントを受けたことがあると回答した人は37・5%であり、この数字はむしろ調査の信憑(しんぴょう)性を高めている。
 問題は現市長に関するハラスメントについての記載である。内容は現在訴訟となっている方と類似のものが多い。同種のハラスメントを繰り返している場合、被害者の証言は類似性が高く、信憑性があるとされている。内容には性犯罪に該当すると思われるものも散見される。

 もちろん、これだけでハラスメントがあったと決めつけることはできない。きちんとした調査が必要だ。ただ、回答からはこの問題が長期にわたって組織内において見て見ぬふりがされてきたこともうかがわれ、組織の体質にも大きな不安がある。アンケートでも出てきたが、組織内の窓口には相談していないものが多い。

 第三者委員会メンバーを市の関係者が選ばないこと、調査委員会での証言者の安全確保を徹底することが求められる。また今回の回答者への「犯人捜し」を禁止しなければならない。「相談者、証言者等への不利益取り扱いの禁止」はハラスメント問題の基本であることを、まずは肝に銘じていただきたい。

(被害者学)(談)