渡嘉敷村在住の新垣光枝さん(76)は、孫の上地凜さん(4)=那覇市=と糸満市摩文仁の平和祈念公園を訪れた。「ここに来られない村民の分までお参りしたい」。渡嘉敷村の平和の礎の前に、村で亡くなったとされる人数と同じ数の折り鶴590羽を手向けた。
590人は今年、沖縄戦などで亡くなった24万人余りの名前を読み上げる「沖縄『平和の礎』名前を読み上げる集い」(主催・同実行委員会)で、渡嘉敷小中学校と阿波連小学校の児童生徒が読み上げた人数だ。村で亡くなったとされる人数だと知り、新垣さんが一人で折り上げた。慰霊の当日、孫の凜さんに「(亡くなった人の魂が)鶴に乗ってどこでも好きな所に行けるようにするためだよ」と理由を伝えた。
幼稚園教諭を退職した後、村内で平和学習の講師をしている。「後世につなげる義務がある」と、過去には凜さんの兄弟2人も連れて、村の慰霊祭に参列した。手を合わせた後、凜さんは「仲良くした人が集まったら戦争にはならない」。祖母から受け継いだ教訓を口にした。
(高橋夏帆)