【那覇】1734年6月26日に文学者の平敷屋朝敏や友寄安乗、親泊直増、禰覇朝謫、屋良宣蕃ら15人が、琉球王国の三司官を誹謗(ひぼう)したなどとして処刑された「落書事件(平敷屋・友寄事件)」から290年を迎える今年6月29日、処刑場跡地の那覇市安謝の恵比寿神社で合同慰霊祭が開催された。
当時の琉球王府を震え上がらせた大事件とされながらも、関係資料がほとんど残されておらず、現在まで真相が解明されていない。15人のうち名前が分かっているのは5人のみで、子孫や関係者らが実行委員会を立ち上げ、交流を深めている。
慰霊祭では関係者ら約60人が集まり、処刑された15人の無念さに思いをはせ、手を合わせて追悼した。
発起人の東武事務局長は参加者や協力者への感謝を述べた上で「今後も継続的に交流し、真相の解明を求めて調査を進めたい」と決意を新たにした。
慰霊祭後は交流会も開かれ、悪人のレッテルを貼られたまま、負い目を背負ってきた子孫らが膝を交えて語り合った。子孫の多くは判明しておらず、実行委員会は「ぜひ名乗り出てもらいたい」と呼びかけている。問い合わせは電話090(2718)3779(東事務局長)。
(普天間伊織)