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県「被告適格ない」主張 辺野古「代執行」抗告、初弁論


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2023年12月に名護市辺野古新基地建設の設計変更申請を巡り、国土交通相が史上初の「代執行」による承認に踏み切ったことを受け、辺野古の周辺住民らが国交相の承認取り消しを求めて提起した抗告訴訟の第1回口頭弁論が16日、那覇地裁(片瀬亮裁判長)で開かれた。原告の住民は、国交相が県知事に替わって行った「代執行」での承認の行為の帰属を明確化するため、国とともに県も被告とした訴訟を提起。県が被告となったこの日の訴訟の期日には県側の代理人が出席した。
 次回期日は9月24日。
 訴状では、沖縄防衛局による設計変更申請が公有水面埋立法(公水法)で定める国土利用上適正かつ合理的要件、災害防止や環境保全要件を欠くなどと指摘。国交相が県知事に替わって行った代執行による承認を違法とし、国に執行権限を奪われた形となった県に承認取り消しを求めた。
 原告側は、住民代表として東恩納琢磨さん(62)が意見陳述を行い「代執行は私たちの尊厳を当然のように無意識に踏みにじる愚かな行為」だとし、公水法に照らした県の不承認処分の「中身の審理」をするよう求めた。
 被告の県側は「代執行」による承認を「本来の権限者である都道府県知事がなしたものと同視することはできない」とし、県に「被告適格」がないとして訴えを退けるよう求めた。
 その上で、大浦湾側の適切な地盤調査をしなかった沖縄防衛局の「不作為」で新基地建設工事の事業費・工期が増大したと指摘。このことを踏まえて「埋め立ての必要性との整合性を検討するべき」とする県側の主張を「違法」として代執行を強行した国の姿勢は「沖縄県民だけでなく、国民全体の信頼に応える」ものではないと主張した。