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20年余「苦労報われた」 奄美、官民一体で取り組み


20年余「苦労報われた」 奄美、官民一体で取り組み 2013年、鹿児島県・奄美大島の山中に仕掛けたマングースを捕らえるわなをチェックする阿部慎太郎さん(奥)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鹿児島県・奄美大島でのマングース根絶を環境省が3日宣言し、地元では取り組みに関わってきた関係者らが喜びに沸いた。「長年の苦労が報われた」。達成の背景には、貴重な生態系が破壊される危機を訴えてきた研究者や、駆除を続けてきた「マングースバスターズ」らの20年余りにわたる地道な努力があった。
 「奄美大島における特定外来生物フイリマングースの根絶を宣言します」。環境省の担当者が記者会見で高らかに発表すると、関係者が集まった会場は拍手に包まれた。
 環境省によると、奄美にマングースが放獣されたのは1979年とみられる。89年からマングース問題に取り組んできた同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部慎太郎さん(60)=静岡市出身=は「定着してこれだけの年月がたち、1万匹という個体群を根絶できたことはすごい」と評価した。
 国の特別天然記念物アマミノクロウサギに詳しく、防除事業検討委員として関わってきた沖縄大学客員教授の山田文雄さん(71)は「希少種の絶滅や生態系の危機を救えたことは本当によかった。外来種対策や野生動物管理で国内外に事例を示せた。新たな外来種問題をつくらないための教訓としてほしい」と意義を強調する。
 探索犬と共に捕獲に当たってきたバスターズの1人、埼玉県出身の山下亮さん(52)は「官民一体で取り組んだ長年の苦労が報われた」と安堵(あんど)の表情を見せた。マングースの防除が続く沖縄本島で活動を始めており「探索犬の活用技術を生かし、沖縄でも根絶を目指したい」と意気込んだ。