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無罪へ「闘い続く」 前川さん支援者と抱擁 福井中3殺害再審へ


無罪へ「闘い続く」 前川さん支援者と抱擁 福井中3殺害再審へ 名古屋高裁金沢支部の再審開始決定を受け、決定書を高く掲げる前川彰司さん=23日午前、金沢市
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 歓喜の輪の中、冷静に言葉を紡いだ。再審開始を認め、無罪への扉を開いた23日の名古屋高裁金沢支部決定。「闘いはまだ続く」。司法に翻弄(ほんろう)されてきた前川彰司さん(59)は表情を緩めなかった。捜査や公判対応への厳しい批判に、警察や検察関係者は動揺を隠さない。事件から38年。弁護団は「これ以上は許されない」と検察に決定受け入れを迫った。

 13年前に再審開始決定を出した裁判所の前で、再び歓声が上がった。名古屋高裁金沢支部が再審開始を認める決定を出した前川彰司さん(59)は、右手に握った決定書を高く掲げ、支援者と抱き合った。「闘いは続く」。弁護団や支援者は捜査当局を批判し、早期の無罪判決を望んだ。

 裁判所がある金沢市は、朝から小雨が断続的に降った。前川さんは、弁護団や支援者らと共に「誠意を持って謝罪せよ」などと書かれた横断幕を掲げ、裁判所に入った。

 受け取った決定書に「開始する」の文字が見え、文書を握りしめた拳を高く突き上げた。裁判所前では、弁護士が掲げた「再審開始」の紙を見た支援者が「良かった」「おめでとう」と歓喜し、拍手と万歳三唱が湧き起こった。

 裁判所から出てきた前川さんは、応援への感謝の思いを述べつつ「一つの区切りだ。長い闘いになることは覚悟している」と厳しい表情を崩さなかった。

 その後に金沢市内で開かれた記者会見では、吉村悟弁護団長は「悲惨な冤罪(えんざい)被害の救済を遅らせることは人道的に許されない」と指弾し、早期の再審開始を訴えた。大阪市の小6女児焼死事件で再審無罪が確定した青木恵子さん(60)も同席し「警察は自分たちの罪を認めて反省すべきだ」と批判した。

 支援者らは高裁支部から名古屋高検金沢支部まで行進。異議申し立てをしないよう求め、庁舎前で「前川さんは無実だ」とシュプレヒコールを上げた。名古屋市の名古屋高検にも申し立て断念を要請。支援者ら約10人は「前川さんの人権をこれ以上翻弄(ほんろう)することは許されない」と強調した。

(共同通信)