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アウトドア楽しみたい<伊是名夏子100センチの視界から>156


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 夏休みの終わりに、息子のクラスメート家族と一緒に、川にデーキャンプに行きました。川の流れに身を任せて浮輪で遊ぶのは、まるでジェットコースターです。しかも毎回同じ場所を流れるのではなく、少しずつルートが変わるので、飽きることなく何度も楽しめます。魚もたくさんいて、場所によって種類も変わり、宝探しのようです。太陽の動きとともに、川や緑の色も変わり、眺めているだけでも楽しいです。

 釣った魚をその場でさばいて焼いて食べたら、全く臭みがなく、まるで高級料亭です。上流まで探検に行った息子は、さらに流れが早い川に飛び込んだり、いろいろな生き物や植物を発見したりしたそうです。こんなにも飽きることなく、バラエティー豊かな遊びができることに驚き、心から癒されました。どんなアミューズメントパークやレストランよりも、自然の遊びはお財布にやさしく、五感を使って遊べて、予測不可能な楽しみがあって、自分の好きなように、自分らしく過ごせます。準備や片付けの手間はあり、急な雨にも降られたのですが、それこそがキャンプの醍醐味(だいごみ)。最高の一日でした。

 ただ川をはじめとする大自然はバリアーフルで、車いすでは行けないところもあります。危険もあり、車いすでは大変だろうと思われて、周りから誘われにくいことがあります。でもキャンプではあえて不便なことを楽しみ、助け合うのが前提です。私だけでなく、周りのみんなもうまくいかないことが多いので、その場に応じて臨機応変に動きます。だから私もできないことを助けてもらうことに、そこまで申し訳ないと感じることがなく、私のできる方法でキャンプを楽しむことができます。

 もちろん障害によっては、大自然を楽しむことは厳しいこともあるでしょう。でも情報と人手を集め、試行錯誤を重ねたら、楽しめる方法は見つかると信じています。手間はかかるし、予想や予定と全く違うこともあるでしょうが、障害があるから無理だと諦めたり、周りからも一緒に行けないと決めつけられたりすることは、何よりも悲しいです。

 最近では車いすでも楽しめるビーチやキャンプ場も増えてきました。動けなくても、光や音、香りで自然を満喫し、心も体も元気になるでしょう。一緒に行く人によっても、季節や天気、時間によっても楽しみ方が変わってくるのも魅力です。いろいろな人と一緒に、アウトドアを楽しみたいです。


 いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。