米軍の無人偵察機MQ9の1機が13日、米軍嘉手納基地に飛来した。週明けには運用部隊が立ち上がる。嘉手納基地では巡回配備の外来機による騒音被害の拡大や防錆(ぼうせい)格納施設の整備に続き、運用機数が増えることにより基地負担増強につながることは間違いない。
MQ9の離陸時の地上の騒音は、約120メートル上空を飛行している時で最大75デシベル。防衛省は「嘉手納で運用しているKC135や戦闘機と比較して小さい」と騒音の小ささを強調するが、この値は「うるさい掃除機」に相当するとされ、県関係者は「うるさいことに違いはない」と疑問視した。
MQ9の嘉手納への移駐について防衛省は「南西地域周辺での情報収集、警戒監視および偵察(ISR活動)の一層の強化を図るため」と理由を説明している。
一方、1年間暫定配備された海上自衛隊鹿屋航空基地での運用について木原稔防衛相は10日の会見で「情報収集活動における米軍と自衛隊の連携強化が図られた」と述べ、自衛隊施設に配備した効能を強調した。
同航空基地からの運用でも監視網に穴はないが、嘉手納基地に拠点を移すことで「効率的なISR活動がこれまで以上に可能になる」というのが移駐の理屈だ。
嘉手納に配備する意義付けの根拠は弱い。だが、軍事上のニーズを第一に考えれば、沖縄の基地負担軽減策の選択肢は格段に狭まりかねない。基地負担軽減という原点に立ち戻った検討が必要だ。
(知念征尚)