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【深掘り】別名は「死神」 米軍の無人機MQ9、攻撃機能あり、アルカイダ殺害や市民誤爆も 嘉手納配備 沖縄


【深掘り】別名は「死神」 米軍の無人機MQ9、攻撃機能あり、アルカイダ殺害や市民誤爆も 嘉手納配備 沖縄 米軍の無人偵察機MQ9=12日、鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米空軍嘉手納基地への無人偵察機MQ9の配備が始まった。防衛省は「無人偵察機」と強調し、警戒・監視や偵察に使用すると説明するが、攻撃機能を有し「死神」とも呼ばれる機種だ。米軍は各種無人機の利用拡大を計画しており、嘉手納基地をはじめ県内の米軍基地には長期的には無人機配備が続く可能性が考えられる。

 MQ9の嘉手納配備について防衛省担当者は「特に非武装化の処置をしたとは聞いていないが、日本に展開する目的は警戒監視、偵察だ」と強調した。

 一方、MQ9は「刈り取るもの「死神」を意味する「リーパー」と呼ばれており、米軍のサイトによると空対地ミサイルやレーザー誘導爆弾などを使用できる。アフガニスタンで実戦に投入され、国際テロ組織「アルカイダ」の幹部を殺害している。誤爆して子どもを含む市民が亡くなったこともあった。

 北谷町の渡久地政志町長は「攻撃的な運用が可能との情報もある。警戒監視、偵察活動の強化が目的とは言うが、今後の運用について注視していきたい」とした。また、国に対して「運用方法などの詳細を明らかにしてほしい」と述べた。

 嘉手納爆音訴訟原告団の新川秀清団長は「『台湾有事』が叫ばれる中での無人機配備そのものが、地域の緊張をあおっているように見える。戦闘機より騒音が小さいと説明されているが、逆に基地負担を重くしたという印象だ」と述べた。

 米軍が基地機能を強める背景には中国軍の活動がある。防衛省によると、中国側も与那国町と台湾の間で無人機を飛行させており、双方の無人機活動が激化すれば沖縄周辺で緊張が高まる恐れがある。

 米空軍の研究機関が公開した動画「エアフォース2030」は、有人のステルス戦闘機の周辺を複数の無人戦闘機が取り囲み、標的から離れた場所から無人戦闘機をコントロールする将来構想が描かれている。さらに輸送機らしき機体が小型の攻撃無人機を大量に発射し、標的に突撃する様子も描かれている。

 米軍の戦闘機開発などを請け負ってきた米ロッキード社は昨年、ステルス戦闘機F35を無人機と一体で運用する計画「プロジェクト・カレラ」に着手したと表明した。F35戦闘機に無人機「スピードレーサー」が随伴し、前線での偵察や攻撃に対する「おとり」作戦など、リスクの高い行為を無人機が行う内容だ。従来の有人機が無人機と一体で運用される手法が定着すれば、嘉手納にもさらに無人機が飛来、配備されることになりそうだ。

(明真南斗、島袋良太、名嘉一心)