「沖縄県の訴え提起は不適法」 那覇地裁、中身の判断をせず「門前払い」 辺野古巡る抗告訴訟で判決


「沖縄県の訴え提起は不適法」 那覇地裁、中身の判断をせず「門前払い」 辺野古巡る抗告訴訟で判決 那覇地方裁判所
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 米軍普天間飛行場移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事に向けた沖縄防衛局の設計変更申請を巡り、沖縄県の不承認処分を取り消した国土交通相の裁決は違法だとして、県が処分の効力回復を求めた抗告訴訟の判決で、那覇地裁(藤井秀樹裁判長)は15日、県の訴えを却下した。裁決の違法性といった中身の判断はせず「門前払い」にした。


 藤井裁判長は判決理由で、行政不服審査法などでは地方自治体が抗告訴訟で裁決の違法性を争うことを認めていないと解すべきであるとして、「県が提起した訴えは不適法である」と判示した。


 自治権侵害の是正のため抗告訴訟が認められるべきだとする県の主張に対しては、承認の法定受託事務が「国が本来果たすべき役割に係るもので、国において適正な処理を特に確保する必要がある」性質があるとして、「地方公共団体の固有の自治権に含まれているものとは解されない」と指摘した。


 また自治体が条例や規則に従わせるための訴訟を起こせないとした2002年の「宝塚パチンコ条例事件」の最高裁判決を踏まえ、裁判所の審理対象となる「法律上の争訟には当たらない」とした。県が埋め立て承認撤回効力の回復を求めた過去の抗告訴訟で、県に訴訟提起の適格がないとした22年12月の最高裁判決の射程は、今回の抗告訴訟にも及ぶと判断した。


 県は21年11月、軟弱地盤の調査が不十分であることなどから設計変更申請を不承認とした。国交相は22年4月に不承認を取り消す裁決をした。