玉城知事コメント「到底容認できるものではない」 辺野古代執行訴訟・高裁判決


玉城知事コメント「到底容認できるものではない」 辺野古代執行訴訟・高裁判決 代執行訴訟判決を前に県庁に登庁し、伏し目がちの玉城デニー知事
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 沖縄防衛局の埋立変更承認申請を知事は承認せよとの判決を求め、国が提起した代執行訴訟について、福岡高等裁判所那覇支部は本日、沖縄県に対し、2023年12月25日までに承認することを命ずる判決を言い渡しました。

 裁判所には、地方自治の保障のために厳格な要件が設けられた代執行の制度趣旨に正面から向き合い、多くの沖縄県民の民意に即した判断を期待していただけに、極めて残念です。

 憲法が定める地方自治の本旨や民主主義の理念、さらに沖縄県民の苦難の歴史とその民意を踏まえれば、沖縄県の処分権限を奪い、その自主性・自立性を侵害して新たな軍事基地を建設しようとする国の代執行は、多くの沖縄県民の負託を受けた知事として到底容認できるものではありません。

 そのため、去る10月30日には、私自ら法廷に立ち、国が沖縄県との必要な対話に応じていないこと、「辺野古が唯一」との考えは必要性・合理性を欠くこと、そして辺野古新基地建設に反対する明確な沖縄県民の民意こそが公益として考慮されなければならないこと等を強く訴え、国の代執行はその要件を欠くことを主張してまいりました。

 しかし、今回、裁判所は、沖縄県が承認処分をしないことについて、2023年9月4日の最高裁判決により不承認処分の公有水面埋立法違反が確定したため法令に違反し、国と沖縄県の対話は代執行等以外に取り得る方法とは認められず、普天間飛行場の危険性は生命、身体に大きく関わり、承認処分をせず放置することは甚だしく社会公共の利益を害することから、代執行の要件を満たすとして国の請求を認めました。

 裁判所は、判決の付言において、沖縄の「歴史的経緯等を背景とした本件埋立事業に対する沖縄県民の心情もまた十分に理解できる」とし、「国と沖縄県とが相互理解に向けて対話を重ねることを通じて抜本的解決の図られることが強く望まれている」としております。

 そうであるならば、代執行の要件の判断において、この点を反映し、地方分権改革の趣旨や地方自治の本旨、多くの沖縄県民の民意という真の公益をくんだ判決がなされるべきではなかったでしょうか。

 沖縄県としましては、判決内容を踏まえ、今後の対応について検討してまいります。

 沖縄県知事 玉城デニー