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野党・公明3氏 献金「ない」 本紙アンケート「違法性」を認識 選挙前献金


野党・公明3氏 献金「ない」 本紙アンケート「違法性」を認識 選挙前献金  国会議事堂
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党の衆議院議員5人が代表を務める政党支部が、国政選挙直前に国と契約関係にある企業から献金を受け、一部識者らから公職選挙法で禁じられている「特定寄付」の疑いがあると指摘されていることについて、琉球新報は21日までに、現職の沖縄選出・関係の与野党衆院議員4人にもアンケートを実施した。

 本紙は(1)「特定寄付」の疑いのある件について違法性の認識(2)2021年までの10年間にこうした選挙直前の献金を受けたことがあるか―各議員に聞いた。

 屋良朝博氏(立民)は21年衆院選で、内閣府の事業を受注している業者から同年9月に10万円の寄付を受けていた。ただ、寄付が岸田文雄首相の解散表明前だったことを踏まえ、「受注や国政選挙に関係なく、政治活動に関する寄付と受け止めている」と説明。その上で、「政治に対する不信が高まる中、誤解を招かぬよう返金する」とした。

 ほかの3氏は21年衆院選での「特定寄付」の指摘がある国契約企業からの選挙直前の献金はなかった。

 また、4氏はいずれも、21年より以前の10年間での国契約企業からの選挙直前の献金について「ない」とした。

 赤嶺政賢氏(共産)と新垣邦男氏(社民)は、いずれもこうした「特定寄付」が疑われる企業からの献金について違法性を指摘した。

 赤嶺氏は「公共事業の請負契約をはじめ、国と特別の利益を伴う契約を締結する企業や個人が、国政選挙に関して寄付を行うことは公職選挙法で禁止されている」と指摘。この原則は「選挙期間中に限られるものではなく、選挙に関して行われた寄付であれば、選挙期間の前後に行われたものであっても違法になる」とした。

 金城泰邦氏(公明)は個別事案への評価を避け、一般論として「国または地方公共団体と特別の関係がある者の寄付は違法だと認識している」とした。


公明党への質問

Q1.「特定寄付の疑い」について、違法性の認識を教えてください。
Q2. 今後、「特定寄付」が疑われる寄付についてどのようにご対応されるでしょうか。
Q3.「特定寄付の疑い」について、事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.国又は地方公共団体と特別の関係がある者の寄付は違法だと認識している。
A2.受けたことはない。また、今後も受けない。
A3.コメントする立場にない。


立憲民主党への質問

Q1.2021年衆院選は、同10月4日に岸田文雄首相が解散を表明し、同31日に投開票が行われました。その点を踏まえ、屋良様が代表をお務めになっている立憲民主党沖縄県第3区総支部において、2021年9月15日に県内企業から10万円の寄付を受けておられます。同社は2021年4月1日から22年3月31日までを契約期間とする内閣府沖縄総合事務局発注の事業を811万8000円で落札・受注しております。この寄付について、違法性の認識を教えてください。
Q2.この寄付について、どのように対応しますか。また、2019年4月9日告示、同31日投開票の沖縄3区補選で上記のような「特定寄付」が疑われる寄付を受けられたでしょうか。受けられていて返金する場合はその理由をあわせて教えてください。
Q3.事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.当該寄付者が国事業の受注業者であることは今回の指摘で初めて知った。国事業の受注後、解散表明前の寄付であり、受注や国政選挙に関係なく、政治活動に関する寄付と受け止めている。寄付は全て法に則って適正に処理しており、違法性はないものと認識している。しかし、今回の指摘を受け、政治に対する不信が高まる中、誤解を招かぬよう返金させていただく。
A2.2019年の沖縄3区補選において、該当するような寄付は受けていないものと認識している。
A3.回答なし


共産党への質問

Q1.「特定寄附の疑い」について、違法性の認識を教えてください。
Q2.2021年までの10年間で「特定寄附」が疑われる寄附を受けられたことはおありでしょうか。また、今後そのような寄附があった場合についてどのようにご対応されるでしょうか。
Q3.「特定寄附の疑い」について、事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.公共事業の請負契約をはじめ、国と特別の利益を伴う契約を締結する企業や個人が、国政選挙に関して寄附を行うことは、公職選挙法199条で禁止されている。これは、選挙期間中に限られるものではなく、選挙に関して行われた寄附であれば、選挙期間の前後に行われたものであっても違法になる。このことは、同法の逐条解説などにも明記されている。
A2.「特定寄附」を疑われるような寄附を受けたことはない。政治を歪める企業・団体献金そのものを受け取っておらず、その廃止を訴えている。
A3.「特定寄附」の疑いを指摘された政治家には、事実関係の全容を国民に明らかにする責任があると考える。


社民党への質問

Q1.「特定寄付の疑い」について、違法性の認識を教えてください。
Q2. 今後、「特定寄付」が疑われる寄付についてどのようにご対応されるでしょうか。
Q3.「特定寄付の疑い」について、事実関係や解釈などに異議がある場合は、ご教示ください。

A1.お尋ねの「違法性の認識」については、上脇神戸学院大学教授のご見解と全く同じ認識を持っている。これまで公職選挙法第199条1項の「契約の当事者である者」、そして同2項の「当該会社その他法人」から寄付を受け取ったことはない。

A2.2021年10月31日執行の衆議院議員選挙に初当選したが、当該選挙期間または衆議院解散が事実上確定した10月4日から公示日10月19日までの期間においても公職選挙法第199条に定める「契約の当事者である者」、同2の「当該会社その他法人」から寄付を受け取った事実はない。

A3.「特定寄付」については「公職の候補者(公職の候補者となろうとする者及び公職にある者を含む。)が、その者が公職の候補者である間に政党から受けた政治活動に関する寄附に係る金銭等の全部又は一部に相当する金銭等を自らの資金管理団体に対してする寄附」もある。これについては法令に則り適正に処理し、収支報告書に記載している。