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PCB在庫リスト作成へ 日本製の総量把握に向け 国内処理も検討か 米軍基地内に大量に存在


PCB在庫リスト作成へ 日本製の総量把握に向け 国内処理も検討か 米軍基地内に大量に存在
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 【東京】全国の米軍基地内に人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物が大量に残っている件で、日米両政府が日本製のPCB廃棄物の総量把握に向けて在庫リスト作成に取り組む方針を固めたことが関係者への取材で22日までに分かった。関係者によると総量把握後の処理場所は協議中だが、日本国内処分の可能性もある。一方、防衛省による一部引き取りも維持される見込みで、米軍使用分を日本政府が負担する妥当性が問われそうだ。

 在日米軍の環境対策を定めた日本環境管理基準(JEGS)は、施設内にあるPCB製品についてリスト保管を定めており、本来は常に作成していなければならない。JEGSに反し、総量が把握できていないことが、基地内のPCB処理が進まなかった背景にある。

 海外製のPCB含有機器を巡っては米本国への持ち帰り方針を改めて確認する方向で調整を進めている。

 米軍再編事業や提供施設整備でPCB廃棄物が見つかった場合は、引き取って処分費用を肩代わりした防衛省は、廃棄物の引き取りを継続する方針。米本国への持ち帰りを検討する海外製の処分も、防衛省事業で見つかれば、日本政府が費用を負担することになる。

 02年には在日米軍が保管する全てのPCB含有機器を本国に移送する方針が決まったが、日本政府が引き取りを続けてきた。03~22年度の20年間で約4億4千万円を費やし、約463トンを処理してきた。

 (明真南斗)