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【深掘り】陸自訓練場、広がる反発 八重瀬、中城で意見書 新たな候補地、危機感も 沖縄


【深掘り】陸自訓練場、広がる反発 八重瀬、中城で意見書 新たな候補地、危機感も 沖縄 うるま市石川の陸上自衛隊訓練場整備候補地となっているゴルフ場跡地と、周辺に広がる住宅地=2月、うるま市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 防衛省がうるま市石川のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を整備する計画について、中城村議会と八重瀬町議会は計画の断念や白紙撤回を求める意見書などをいずれも全会一致で可決した。2023年12月に計画が突如として表面化してから約3カ月。住民生活への影響必至の計画に反対する動きは予定地のうるま市の外にも広がった。

 予定地には、うるま市以外の児童らも使う学びの場が近接していること、防衛省が石川への整備を諦めた場合、沖縄本島内で他の候補地を探す構えであることへの警戒もある。

 昨年末に報道などで建設計画が知られるようになり、うるま市石川で反対が広がり始めると、中城村議の間では、議会で取り扱う必要があるのでは、との認識が広がり始めた。

 中国を念頭に置いて政府が推し進める軍備増強はかえって沖縄を戦争に近づけるのではとの不安、地元の懸念を顧みない国への不満などが背景にある。

 22日に全会一致で可決した「計画の断念を求める意見書」の提出者となった桃原清村議は年末から同僚議員らと話し合っていた一人。3月20日にうるま市の石川会館で開かれた「計画の断念を求める市民集会」も訪れ、会場の熱気に地元の強い反対を感じた。

 「これまでの集会のように、のぼりやプラカードを掲げるわけではなく、登壇者の訴えを会場全体でしっかりと聞いてそれぞれの反対の思いを共有していた」と振り返る。団結して生活環境を守る、とのうるま市民の決意に触れ「『中城でも』とは考えていたが、その背中を押された」という。

 意見書に込めた思いについて「うるま市だけの問題ではないから」とも語った。新たな候補地として当事者になることの危機感だ。

 八重瀬町議会は、県議会が3月7日に白紙撤回を求める意見書を全会一致で可決したことで動き出した。県町村議会議長会から県議会の意見書など情報提供を受けると、議会運営委員会、全員協議会(全協)を立て続けに開催。賛同を得て「計画の白紙撤回を求める要望決議」を提出し、22日に全会一致で可決した。

 全協では、同じ県民として議会の意思を表明すべきだとの認識を共有したという。

 各市町村議会は年度末の定例会が終盤を迎え、会期日程の関係から、意見書の提出などが難しい状況もあるとみられる。計画を巡る国の動向に加え、会期後の動きなど他の議会の対応も注目される。

(名嘉一心、岩切美穂)