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製糖業、来月から残業規制 省力化、人材確保で懸念


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 働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が4月1日から鹿児島、沖縄両県の製糖業で導入される。自動車運転業や建設業と同様、5年間の猶予期間中に各事業者は政府の支援を受け、工場の近代化や外国人労働者採用に取り組むなど「2024年問題」への対策を進めてきた。ただ労働力不足が深刻化するとの懸念があり、現場には不安感も漂う。

 農林水産省によると、供給される砂糖の約4割は国産糖で、このうち両県のシェアは20%程度。上限規制の適用対象となる製糖事業者の大半が離島に立地している。サトウキビが収穫期を迎える12月~翌年3月ごろに作業が集中するため、季節工と社員による長時間労働でしのいできた。

 今後は繁忙期でも現行の1日12時間の2交代制ではなく、8時間ごとの3交代制に移行する必要がある。そこで両県内に約70ある製糖工場では必要に応じて国の補助金を受け取り、設備を更新。省力化を進めてきた。

 奄美大島など鹿児島県の5離島と、南大東島にそれぞれ立地する計6事業者は2023年度までに省力化のため、工場に集中制御室を整備するなどした。

 沖縄県内の8町村は、国の財政支援で季節工向けの宿泊施設を新設。福利厚生を充実させた。

 だが日本分蜜糖工業会(那覇市)によると、上限規制に対応できた事業者とそうでない事業者に二極化しつつあるという。

 鹿児島県・種子島の新光糖業は、21年に国の補助金を使って集中制御室を整備したが、それでも人手不足に陥っている。

 浦島哲志管理部長は「季節工がこれ以上少なくなると、仕事が回らなくなる」と悲鳴を上げた。

 同工業会の池間智政事務局長は、季節工は短期間で高収入が得られる仕事を求めており「働き方改革で製糖業を離れていく人もいる」と指摘。残業が減った分、賃金水準を上積みするなど対策が必要との認識を示した。

(共同通信)