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「みなし」優先 20府県 災害仮設住宅 沖縄「明確に決めず」


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「みなし」優先 20府県 災害仮設住宅 沖縄「明確に決めず」 応急仮設住宅に関する都道府県方針
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 災害時に応急仮設住宅が必要になった際、20府県がアパートやマンションの空き部屋などを利用する「みなし仮設」を、プレハブなどの「建設型」より優先的に供給する方針であることが6日、共同通信の調査で分かった。20府県全てが迅速に提供できることを理由に挙げた。建設型を優先して供給するとした都道府県はなかった。

 能登半島地震でも積極的に使われるなど、近年はみなし仮設が主流になっている傾向が裏付けられた。ただ空き地などにまとめる建設型と異なり、みなし仮設は地域が分断されやすく、被災者の孤立につながりやすい。ケアが必要な人に目が届きにくくなることから孤独死といった問題も表面化している。

 調査は1月以降に実施し、建設型とみなし仮設のどちらを優先供給するか決めているかどうか尋ねた。能登半島地震対応を優先する石川以外から回答を得た。

 みなし仮設を「優先する」とした20府県は、青森、神奈川、和歌山など。「建設型に比べて速やかな提供が可能」(埼玉)、「既存住宅を活用し早急に対応できる」(岡山)といった理由が挙がった。広島は「被災者が離れることが難しい地域、賃貸型が少ない地域、大量の仮設住宅が必要な場合は建設型が中心」と付記した。

 一方、沖縄など22都道県は方針が「明確に決まっていない」と回答した。高知は「賃貸物件の多い地域ではみなし仮設優先、少ないエリアは建設型優先で供給する」と説明。この他にも宮城や兵庫など多くの自治体が、災害の規模や地域によって状況が変わるとした。

「その他」は4府県。岩手は「仮設住宅の形態にこだわらず、早期の供与を図る」と説明し、香川は「被災者が民間賃貸住宅を希望し、借り上げが可能なら賃貸型を優先する」と答えた。

 みなし仮設は2011年の東日本大震災で本格的に活用され、16年の熊本地震や18年の西日本豪雨でも使われた。能登地震では発災3日後の1月4日に石川県が各市町に窓口を設けるよう通知、順次入居が開始した。(共同通信)

 応急仮設住宅…災害救助法に基づき、自宅が全壊や流失した人らの仮住まいとして自治体が無償提供する。入居期限は原則2年で、延長される場合がある。プレハブや木造などの建設型と、民間住宅を借り上げる「みなし仮設」がある。内閣府によると、東日本大震災では岩手、宮城、福島3県で最大12万戸程度が用意され、約30万人が入居した。近年の大規模災害では借り上げ型が主流になっている。