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【深堀り】「ある期間」に集中、降下兵士は増 米軍嘉手納パラシュート降下訓練 日米合意の条件ほご 沖縄


【深堀り】「ある期間」に集中、降下兵士は増 米軍嘉手納パラシュート降下訓練 日米合意の条件ほご 沖縄 パラシュート降下訓練でHC130J特殊作戦機からジャンプする米兵=19日午後3時13分、米軍嘉手納基地上空付近ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 地元からの再三の抗議と中止要請にもかかわらず、米空軍は19日、嘉手納基地で5カ月連続となるパラシュート降下訓練を強行した。政府は日米合意に基づく「例外的な場合」に当たるとして容認姿勢を示し続けるが、米軍が滑走路の補修完了まで1年半程度かかると日本側に伝えていたことも明らかになった。訓練の長期化が現実味を増す中、地元は「もはや常態化している」(玉城デニー知事)と反発を強めている。 

 パラシュート降下訓練は1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意で、伊江島補助飛行場で実施することになっている。日米は2007年に「嘉手納基地を例外的な場合に限って使用」すると追加合意した。
 防衛省は嘉手納実施を認める「例外」の条件に(1)定期的なものではない(2)小規模(3)喫緊の必要性(4)伊江島補助飛行場でできない―を示し、これらを満たしているとして訓練を認めてきた。

 木原稔防衛相は19日朝の閣議後会見で「嘉手納で定期的に行われる訓練ではない」と強調した。
 だが、茂木陽報道官は同日夕の記者会見で「定期的に行われる訓練」の定義を問われ「厳密な定義に基づいて厳密に使用しているわけではない」と説明。「『ある定められた時期ごとに行われる様』を意味する言葉で、こうした日本語の一般的な意味で使っている」と述べた。

 だが、昨年12月以降の訓練実施は毎月14~19日の6日間に集中。降下作戦に必要な資格を部隊に付与、維持する必要性が発生する都度、実施しているといい、定期的に降下する必要があるとみられる。
 また、降下する兵員数が増加傾向にある。12月の訓練は4人だったが、今回は20人が基地内に降りた。「小規模」という例外条件の一つも歯止めになっているとは言い難い。

 県関係者は「この訓練を続けていて定期的ではないという言い方が本当に通ると思っているのか」と国の姿勢に警戒感を示した。別の県幹部は、嘉手納での訓練が長期化する見通しであることに「(長期化が)分かっているなら、別の方策を示すのが筋だ」と指摘した。 (知念征尚、明真南斗)