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「痛み」正面から議論を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 少子化対策関連法案の衆院審議で最大の争点となったのは、財源確保のために創設する「子ども・子育て支援金」だ。公的医療保険料に上乗せして徴収するのに、政府は「実質負担なし」と言うばかりで、野党に「まやかし」と批判された。少子化対策実現には財源が欠かせない。「痛み」となる新たな負担や、社会保障分野の給付カットを正面から議論することが求められる。
 政府は、高齢化に伴い膨らむ医療や介護の社会保障費の伸びを歳出削減によって抑えれば、保険料が軽減される効果があり、上乗せする支援金分が相殺されるという論法を繰り返す。
 歳出削減には、医療費窓口負担3割の高齢者の範囲拡大など、家計を直撃する内容が検討課題に挙がっている。しかし審議では十分な説明はなかった。負担増イメージを回避する思惑があったとの見方もできる。
 支援金の個人負担額の情報開示も消極的だった。野党の要求を受け、公的医療保険ごとの年収別徴収額の試算をさみだれ式に示した。給与からの天引きが千円を超えるケースもあり「実質負担なし」と言われても、すんなり納得はできない。
 加速する少子化は待ったなしの課題。社会全体で取り組む必要があり、家計に響く負担については真摯(しんし)な説明が不可欠だ。