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AI巡り友好国会合 首相、OECDで提唱へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は、生成人工知能(AI)を巡る国際的なルール形成の枠組み「広島AIプロセス」への賛同国を拡大し、具体的な取り組みを推進するため「フレンズ(友好国)」会合を新設する方向で検討に入った。関係者が20日明らかにした。岸田文雄首相が5月2、3日にフランスで開かれる経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会に出席して提唱する見通しだ。
 岸田政権は、AI技術を悪用した偽情報の拡散について、国際社会や民主主義への新たな脅威と捉えている。AIの開発、利用促進、規制を一体的に進める立場から、日本が主導する形で国際ルール作りを目指す。
 広島AIプロセスは、2023年5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で発足し、同年12月のG7首脳テレビ会議で最終合意した。開発者から利用者までAIに関わる「全ての関係者」に守るべき責務を定めているものの法的拘束力はなく、具体的な規制などは各国の取り組みに委ねられている。日本政府は、信頼できるAIの利用促進に向けて、OECD閣僚会合の場が、重要性を訴える上で適していると判断した。首相のフランス訪問中に現地で開催する広島AIプロセス関連イベントへの出席も各国に呼びかける。
 首相は3月に韓国政府が主催した「民主主義サミット」で、AIによる偽情報や成り済まし音声について「人々の政治的自己決定を妨げ、社会を混乱させるリスクがある」と強調。広島AIプロセスで国際指針と行動規範を取りまとめたと言及し、G7以外にも広げていく考えを示していた。