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感染症対策 柔軟切り替え 政府 行動計画案を大筋了承


感染症対策 柔軟切り替え 政府 行動計画案を大筋了承 政府行動計画改定案のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府の新型インフルエンザ等対策推進会議は24日、深刻な感染症への対応をまとめた「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定案を大筋で了承した。新型コロナウイルス対応を踏まえ、平時からの備えを充実させ、幅広い感染症による危機に対応できる社会を目指す。医療逼迫(ひっぱく)時には緊急事態宣言を含む必要な措置を適切に講じ、状況に応じて柔軟に対策を切り替える。計画を6年ごとに見直すことも盛り込んだ。
 意見公募を経て、6月に閣議決定する方針。2013年策定の計画を初めて抜本的に改定する。
 改定案は「水際対策」「まん延防止」など13項目を設定。それぞれ「準備期」「初動期」「対応期」の各段階の対応を整理し、平時の備えに関する記載も大幅に増えた。
 流行の波が繰り返すことを想定。社会経済活動とのバランスを考えて対策を縮小、中止することも盛り込んだ。国と地方の連携も強める。検疫措置の強化や入国制限などの水際対策で、病原体の国内侵入や拡大を遅らせる。感染拡大時は情報が入り乱れ、偏見や差別、誤情報が広がる恐れがあるため、平時から感染症に関する啓発を進め、情報提供の方法を整理する。
 医療体制では、通常医療との両立を念頭に置きつつ感染症医療の体制を確保する。都道府県の入院調整などの権限を明確化し、医療逼迫時には国や都道府県が人材派遣や患者搬送を調整する。
 ワクチンや治療薬は平時から研究開発を推進。有事には国内外のワクチンを確保し、迅速に接種できる体制を整備する。平時の備蓄と有事の生産要請により、医療物資が十分に行き渡る仕組みを構築する。

<用語> 新型インフルエンザ等対策政府行動計画 国民に重大な影響を与える感染症危機に備え、国などが取るべき対策をまとめたもの。2009年の新型インフルエンザの世界的な流行などを受けて成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、13年に策定された。都道府県の行動計画の基準となり、感染症発生時には政府行動計画から国の「基本的対処方針」が定められる。現在の行動計画は「海外発生期」「国内感染期」といった流行状況に応じて「予防・まん延防止」や「医療」といった項目ごとに対応を示している。