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女性天皇「容認」90% 皇位継承「危機感」72% 議論先送りは賛否拮抗 共同通信世論調査


女性天皇「容認」90% 皇位継承「危機感」72% 議論先送りは賛否拮抗 共同通信世論調査 皇室の構成(写真なし、コンパクト版)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 共同通信社は27日、天皇陛下の即位5年を前に皇室に関する全国郵送世論調査の結果をまとめた。皇位継承の安定性について「危機感を感じる」が「ある程度」を含め72%に上った。女性天皇を認めることは計90%が賛同した。2021年に政府が継承制度の検討を先送りした判断に対し「支持する」は52%、「支持しない」は46%で賛否が拮抗(きっこう)した。
 天皇陛下より若い世代の皇位継承資格者は秋篠宮家の長男悠仁さま(17)だけとなっている。継承策の議論をどうするのが望ましいか聞いたところ、「現時点から早急に検討するべきだ」が35%で最多だった。ただ「将来にわたり慎重に検討するべきだ」が26%、「悠仁さまの状況を見ながら検討するべきだ」が19%となり、国民の間で考え方が割れている状況が明らかになった。
 女性天皇に賛成の理由は「天皇の役割に男女は関係ない」が最も多く50%。反対理由は「男性が皇位を継承するのが日本の文化にかなっている」が45%で最多。
 皇族以外の男性と結婚して生まれた子が皇位を継ぐ「女系天皇」は「賛成」「どちらかといえば賛成」が計84%だった。
 戦後間もなく皇室を離れた旧宮家の男性子孫を皇族にし「男系・男子」の天皇を維持する考えには、計74%が「反対」「どちらかといえば反対」とした。
 女性皇族が結婚後も皇室にとどまって活動する「女性宮家」の創設は計77%が賛意を示した。
 陛下は19年5月に即位された。5年間で評価する活動(二つまで回答)は「国際親善」が53%、「国民との触れ合い」が42%の順だった。
 皇室への関心は「大いにある」「ある程度ある」が計67%で、前回20年の調査から8ポイント低下した。天皇制については「あった方がよい」が「どちらかといえば」を含め88%だった。上皇さまの退位は「よかった」が97%。退位に関する法整備の在り方は「すべての天皇が退位できるようにするべきだ」が63%、「一代ごとの特例法で認めるべきだ」は34%だった。
 インターネットでの中傷などを巡り、皇族の人格が「侵害されている」との回答は「どちらかといえば」を含め86%に上った。
 調査は3~4月、18歳以上の男女3千人を対象に実施した。

 女性・女系天皇
 
 女性天皇は、女性である天皇で、歴史上は推古天皇や持統天皇など8人が存在した。一方、女系天皇は、母方の血筋だけが天皇につながり、男女は問わない。126代続くとされる歴代天皇で一人も存在しない。皇室典範は、皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限っている。女性天皇を認めた場合、子孫を巡って女系天皇を認めるかどうかの議論になる可能性がある。一部保守層は「男系・男子」を維持する立場で反対が強い。

 ▽調査の方法=層化2段無作為抽出法により、約1億人の有権者の縮図となるように全国250地点から18歳以上の男女3千人を調査対象者に選び、郵送法で実施した。
 3月5日に調査票を発送し、4月15日までに届いた返送総数は2061。記入不備や、対象者以外の人が代理回答したと明記されたものなどを除いた有効回答は1966。回収率は65.5%だった。回答者の内訳は男性47%、女性53%。29歳以下10%、30代13%、40代17%、50代22%、60代19%、70歳以上19%。