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頭部保護備え、石川19% 公立学校 全国43%、地域で差


頭部保護備え、石川19% 公立学校 全国43%、地域で差 石川県輪島市立門前東小の座席に備え付けられた、NPO法人から提供された防災ずきん=11日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で大きな被害が出た石川県では、災害に備え防災ずきんやヘルメットを備蓄している公立学校が2022年3月時点で19%(文部科学省の学校安全調査)にとどまり、全国平均の43%を大幅に下回る。同省は学校防災に関する手引で安全確保に役立つ物資として備蓄を推奨し、地震後に被災地で配布を始めた団体もある。能登半島は近年地震が相次ぎ、石川では復興とともに次の災害への備えを進めることも求められる。
 学校で備蓄するヘルメットや防災ずきんは、災害発生時に児童生徒が避難する際や、学校に集まった被災者が使用することを想定。落下物や飛来物から頭部を守るほか、避難所でずきんを防寒具や枕に代用もできる。
 調査によると、いずれかを備蓄している公立学校は、東京都で86%、神奈川県(政令市を除く)で83%だった一方、石川県で19%、熊本県(同)で29%と地域差が出た。
 東京学芸大の渡辺正樹名誉教授(安全教育学)は「東日本大震災以降、毛布や飲料などの備蓄は進んだが、個人で使う備品の購入費用を自治体と家庭のどちらが負担するのかはっきりせず、財政力がない自治体では備蓄が進まないのではないか」と推測する。
 石川県輪島市立門前東小では、いずれの備蓄もなかったが、今年2月にNPO法人「ワールド・ビジョン・ジャパン」から防災ずきん50人分の提供を受け、児童の座席に備え付けるようにした。
 鰐渕夏以校長は「これまでは必要だという意識がなかった。備蓄をはじめ、身を守ることの重要性に気がついた教員が増えた」と明かした。
 同省によると、いずれかの備蓄があると回答した中には、数がわずかな学校も多く含まれているとみられ、実際には児童生徒や避難者全員分を確保できる学校は少ない可能性がある。
 学校安全調査 文部科学省が、学校保健安全法に基づき策定された「学校安全の推進に関する計画」の進捗(しんちょく)状況を把握するため隔年で実施している。全国の小中学校や高校、幼稚園などを対象に災害時のマニュアルの策定状況や備蓄物品の有無などを尋ねる。2021年度分は全国の国立、公立、私立学校の約9割に当たる約4万5千校が回答した。