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衆院解散「全く考えず」 3補選全敗 首相、表現強める


衆院解散「全く考えず」 3補選全敗 首相、表現強める 記者団の取材に応じる岸田首相=30日午前、首相官邸
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相は30日、自民党が全敗した28日の衆院3補欠選挙の結果を踏まえ、衆院解散・総選挙を「全く考えていない」と従来以上に強い表現で否定した。与党内に広がる「早期解散慎重論」を踏まえたとみられる。結果については、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を陳謝し「真摯(しんし)に重く受け止めている」と述べた。6月の通常国会会期末で解散に追い込みたい野党は攻勢を強める構え。終盤国会では、内閣不信任決議案を巡る与野党の攻防が激化しそうだ。
 首相は6月解散も見据え、9月の自民総裁選での再選を目指すのを基本戦略としてきた。官邸で記者団から解散時期を問われ「一つ一つの課題に結果を出すことに専念する」と述べた。これまで衆院解散について問われた際には「今は考えていない」と留保を付けて答えるケースが多かった。
 3補選全敗に対する自身の責任に関し「党総裁、政権与党として課題に取り組み、結果を出すことで責任を果たさなければならない」と説明。党執行部交代の是非を問われたが、明言は避けた。
 自民の渡海紀三朗政調会長は「緊張感を持って大型連休明けの国会に臨む」と、訪問先のシンガポールで記者団に語った。国会で本格化する政治資金規正法改正に向けた与野党議論などが念頭にあるとみられる。
 公明党の山口那津男代表は記者会見で、28日夜に首相から電話があり「今国会中に規正法改正を成し遂げたいとの強い決意が伝えられた」と紹介。衆院解散時期を巡り「政権に対する信頼回復に力を注ぐことが一番大事だ」と主張した。
 立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で自民が唯一、候補を立てた島根1区補選での敗因に裏金事件を挙げた首相を「人ごとみたいな言い方でおかしい。全部、首相の責任だ」と批判した。