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自民、旧文通費の公開検討 維新に歩み寄り議論 使途項目が焦点


自民、旧文通費の公開検討 維新に歩み寄り議論 使途項目が焦点 自民の旧文通費改革を巡るポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党は、国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)の使途を公開する方向で検討に入った。岸田文雄首相が党幹部に指示した。公開を強く主張してきた日本維新の会に歩み寄り、関連法改正に向けた議論を進める。公開する使途項目が焦点になる。自民内には慎重論も根強く、曲折が予想される。複数の関係者が1日、明らかにした。
 旧文通費の使途公開を巡っては、維新を中心とする野党からの改革要求に対し自民はこれまで消極的で、議論が停滞していた。ただ派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて政治不信が深刻化する中、公明党や立憲民主党も公開に賛同。信頼回復に向けて自民も重い腰を上げざるを得なくなった格好だ。
 首相指示は4月下旬の衆院3補欠選挙前に出された。早ければ今国会中の国会法、歳費法改正を視野に入れる。未使用分の国庫返納も「今後の協議事項」としており、野党側と折り合えるかどうかが課題となる。
 旧文通費は「第2の給与」とも指摘され、私設秘書の給与や事務所経費に充てる議員もいるとされる。使途報告や未使用額返納の義務はなく「つかみ金」と批判されている。具体的な使い方に厳しい規定や制限はなく、罰則もない。
 自民、維新両党は4月25日、旧文通費の見直しを見据え、国会議論を始める方針で一致していた。議論は、衆院議院運営委員会で実施される見通しだ。

 調査研究広報滞在費 旧文書通信交通滞在費。全国会議員に対し、サラリーマンの給与に当たる歳費とは別に、月額100万円支給される手当。2021年10月31日の衆院選で当選した新人議員に対する10月分の満額支給を契機に日本維新の会が問題提起。見直しの機運が高まった。22年4月の法改正で日割り支給に改められ、目的も「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」となった。自民党では、私設秘書の給与や事務所経費への流用、派閥活動に充てていた議員の存在が指摘されている。