ＡＩ原則を改定　偽情報対応強化　ＯＥＣＤが閣僚声明

　【パリ共同】経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）閣僚理事会は３日、閣僚声明を採択して閉幕した。「チャットＧＰＴ」に代表される生成人工知能（ＡＩ）の急速な普及を踏まえ、ＡＩを通じて拡散する偽情報や誤情報への対策を強化した国際的な政策指針「ＡＩ原則」の改定も決めた。中国を念頭に、貿易の制限などで他国の政策に圧力をかける「経済的威圧」への深刻な懸念も表明した。
　ＯＥＣＤは２０１９年にＡＩ原則を公表。法的拘束力はないが、ＡＩの開発や運用に当たっての指針を示した。新原則は加盟３８カ国に加え、ウクライナやシンガポールなどの８カ国と欧州連合（ＥＵ）も賛同した。
　生成ＡＩの技術の進展により、ここ数年は不正確な情報の拡散で社会が混乱するリスクが高まっている。ＥＵ欧州委員会は６月の欧州議会選を前に、ロシアによる選挙介入を警戒する。
　今回の理事会はＯＥＣＤに加盟して６０周年の日本が１４年以来の議長国を務めた。上川陽子外相＝写真左から２人目＝は閉幕後の記者会見で、生成ＡＩのルール形成の枠組み「広島ＡＩプロセス」に触れ「世界中の人々が安全・安心で、信頼できるＡＩを利用できるように環境整備、利用促進を進めたい」と述べた。
　閣僚声明では、経済的威圧に関し「経済的依存関係を武器化する試みが失敗に終わることを確保すべくパートナーと協働していく」と明記した。