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食文化功労者を顕彰 文化庁 芸術性評価、制度創設へ


食文化功労者を顕彰 文化庁 芸術性評価、制度創設へ 和食の盛り付け作業
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 和食や郷土料理など日本の伝統的な食文化の功労者を顕彰する制度を文化庁が創設することが3日、分かった。料理人らの社会的地位の向上を図り、担い手確保につなげる狙い。芸術性や技術力、文化継承への貢献度などを評価し、将来の人間国宝(重要無形文化財保持者)の候補者とする方針。2025年度当初予算の概算要求に関連経費を盛り込み、名称や開始時期といった具体的な制度設計を始める。
 料理人のほか、日本酒や焼酎を造る杜氏(とうじ)といった職人も対象とする。料理なら味や見た目の美しさに加え、提供時のもてなし方も評価項目に想定。文化庁は「3年以内に制度の運用を始めたい」としている。
 日本の食文化は13年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に「和食」が登録され、世界的に関心が高まっている。農林水産省の調査では、海外の日本食レストランは同年の約5万5千店から23年は約18万7千店に増えた。
 他方、国内では食習慣の変化や地域の過疎化で伝統的な調理法や作法を継承する人が減り、特に郷土料理は担い手不足が指摘されている。
 制度創設は、17年に成立した文化芸術基本法で国が取り組む施策として明記された「食文化の振興」の一環。文化庁は「顕彰制度を関係者が誇りを持って活動に取り組む一助にしたい。日本食の魅力をさらに引き出すことが期待できる」と説明した。