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公明、裏金自民にいら立ち 鈍い動き、改革姿勢に温度差


公明、裏金自民にいら立ち 鈍い動き、改革姿勢に温度差 公明党が抱える憂慮
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 公明党が、政治資金規正法改正に対する自民党の動きが鈍いといら立ちを募らせている。自民は派閥の政治資金パーティー裏金事件の当事者。にもかかわらず改革姿勢に温度差があるためだ。岸田文雄首相が6月の国会会期末に衆院を解散するとの疑念も消し切れず、衆院選で自民と共倒れしかねないと憂慮する。
 「国民主権を脅かし、ゆがめる政治の行為は断じて裁かれなければならない」。2日、東京・池袋駅前。山口那津男代表は憲法記念日を前に街頭演説に臨み、派閥裏金事件を指して厳しい言葉遣いで批判した。
 連立を組む自民をここまで突き放す背景に、「積もる不満」(党幹部)があるのは明らかだ。
 4月15日、衆院3補欠選挙告示の前日。山口氏は首相と官邸で昼食を共にすると「自民が早く具体案を示さないと世論は持ちませんよ」と苦言を呈した。この時点で規正法改正の具体案をまとめていなかった自民。裏金事件で1月に安倍派議員や会計責任者らが立件されてから、ほぼ3カ月がたとうとしていた。
 逆風下の3補選で、自民が候補を擁立できたのは島根1区のみ。公明が推薦を出したのは15日午後、告示の直前だった。「規正法改正で腰が引けた自民」(執行部の一人)への反発をにじませたのは間違いない。選挙中、山口氏が島根へ応援に入ることはなかった。
 自民は23日、再三の督促の末に独自案をまとめた。公明が主張する政策活動費の使途公開などは盛り込んでいない。翌24日、自民の茂木敏充幹事長から説明を受けた公明の石井啓一幹事長は「内容が大事だ。時間がほしい」と答え、与党案策定を大型連休明けとした。一両日中と思っていた自民は肩透かしに遭う。
 公明筋は「自民案は小手先の改革。世間の反応を見ながら協議した方がいい」と狙いを解説する。山口氏は今月2日の街頭演説で、衆院3補選の自民全敗に触れ「民意を重く、謙虚に受け止め、透明性強化へさらに一歩進めるべきだ」と自民の譲歩を促した。
 公明が警戒するのは早期の衆院解散だ。首相は訪問先のブラジルで4日(日本時間5日)、今国会中の解散について内外記者会見で聞かれ「現在考えていない」と否定した。だが、9月の自民党総裁選前の解散チャンスは夏だけ。国会終盤に野党が内閣不信任決議案を仕掛ける公算も大きい。
 公明幹部は規正法の自公協議に触れ「中途半端に妥協すれば、衆院選でしっぺ返しを食らう」と危機感をあらわにした。