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人口減 歯止め策急務 沖縄県内、高齢化も同時進行 経済縮小、行政サービス低下も 離島は都市部転出に危機感<沖縄DEEP探る>


人口減 歯止め策急務 沖縄県内、高齢化も同時進行 経済縮小、行政サービス低下も 離島は都市部転出に危機感<沖縄DEEP探る>
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 1972年の日本復帰以降、右肩上がりに増加を続けてきた沖縄の人口が転換期を迎えている。2023年10月1日時点で、総務省の推計では2年連続、県の推計では復帰後初めて、前年より人口が減少した。ただ、人手不足を背景とした外国人の増加などで、県の毎月の推計では11月以降再び増加し、今年1月1日時点では過去最高の146万9628人を記録した。それでも、将来的には減少が続くことが確実視されている。

 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計では、沖縄の人口は2020年前後にピークを迎え、30年に145万9千人、40年に143万8千人、50年には139万1千人と減少すると見込んでいる。年齢構成も変化し、20年には22.6%だった65歳以上の割合は、50年には33.6%となり、高齢化が進むことが予想される。

 人口減少の影響は多岐にわたる。全体的には生産年齢人口の減少による労働力不足、経済規模の縮小、社会保障制度の給付と負担のバランス崩壊などが考えられる。さらに、人口規模の小さな地域では行政サービスの低下や、子どもの減少を受けた学校統廃合による通学の長時間化などの教育格差、地域経済の縮小によってスーパーなどの店舗が撤退し買い物弱者が生じるなど、生活に直結する恐れもある。

 全国の人口減少の主因は、死亡数が出生数よりも多くなることによる「自然減」だ。沖縄は子どもの数が多く、全国で唯一、出生数が死亡数を上回る「自然増」の都道府県だったが、03年に8千人を超えていた自然増は19年に3千人あまりと増加幅の縮小が続いていた。新型コロナ禍による結婚や出産を控える動きがあった22年に、初の自然減に転じた。

 全国と比較すると子どもの数は多い。厚生労働省が発表した、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」(18~22年、市区町村別)では、上位50市町村に沖縄県内の20市町村がランクインした。ただ、全国の合計特殊出生率が22年に過去最低タイの1.26と落ち込んだのと同様に、沖縄は全国一高いものの1.70と過去最低だった。

 小規模離島の危機感はより深刻だ。社人研の推計では、20年から50年までに県内の離島人口は1万6千人あまり、12.8%減少するとされている。多くの自治体で、住民が都市部などへ転出していき、出て行く方が多くなる「社会減」による減少が予想される。

 離島自治体は、生活環境の向上によって人口流出を食い止め、社会減を解消しようとしている。1日、県庁に玉城デニー知事を訪ねてインフラの整備支援や各種事業の実施など離島・過疎地域の振興への要望を伝えた県離島振興協議会・県過疎地域振興協議会会長の宮里哲座間味村長は「最終的にはいかに人口減少を止めるか、微増でも良いから増やしていけるかが離島・過疎地域の究極の課題だ。要望項目を達成することで減少に歯止めを掛け、コミュニティーとして成り立っていく環境につなげていける」と訴えた。

 (沖田有吾)