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独陸軍、日本と初訓練へ 国防相表明 中国にらみ、来年にも


独陸軍、日本と初訓練へ 国防相表明 中国にらみ、来年にも ドイツ国防相の回答ポイント
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 【ベルリン共同=斉藤範子】ドイツのピストリウス国防相はドイツ陸軍の部隊が来年にも日本を訪れ、陸上自衛隊と訓練を実施する見通しだと明らかにした。本格的な共同訓練は初となる。東・南シナ海などで海洋進出を強める中国をにらみ、インド太平洋地域への関与を強化する戦略の一環。共同通信の書面インタビューで6日までに表明した。
 インド太平洋地域に海外領土を持つフランスや英国の陸軍は近年、訓練のため日本に部隊を派遣。ドイツも肩を並べることで、欧州各国が同地域の安全保障環境に貢献する意思が鮮明となる。
 ピストリウス氏は中国の動向に対する「懸念」を強調し、国際秩序維持の重要性を示すために「インド太平洋地域のパートナーと関係を深めたい」と表明。日本での訓練に向け、陸軍と陸自が協議していると語った。
 ドイツは2020年にインド太平洋に関する戦略を策定。海軍と空軍は既に日本で自衛隊と訓練を行い、今年もフリゲート艦と補給艦、戦闘機がインド太平洋地域に展開する。フリゲート艦は海上自衛隊を含めた多国間訓練に参加し、8月後半に日本に寄港。戦闘機は7月後半に航空自衛隊との訓練を予定している。
 冷戦後に軍備を縮小していたドイツはロシアのウクライナ侵攻を受け、軍備増強に転じた。兵力確保が課題で、11年に停止した徴兵制の再開を巡る議論も始まった。
 ピストリウス氏は「(兵役義務のある)北欧諸国のように誰もが国の防衛に貢献することが最善のケースだ」と徴兵制の再導入に前向きな考えを示し、具体案を夏までに提示したいとした。
 外交的対話を続けてきたロシアの侵攻が「私たちの目を開かせ『時代の転換点』の到来を告げた」と指摘。国防費の引き上げや組織再編で「軍を戦闘に適した状態にする」と宣言する一方「目的は抑止力であり、戦争をしなくて済むようにすることだ」とも説明した。