発言封じ、環境省謝罪へ　水俣病患者へ　マイク音切り認める

　水俣病の患者・被害者らと伊藤信太郎環境相との懇談の際に被害者側の発言が制止された問題で、環境省は７日、水俣病対策を担当する特殊疾病対策室長が８日に被害者側に謝罪する方針だと説明した。伊藤氏から謝罪の指示があったという。
　環境省は、団体側の発言中に持ち時間の３分を経過したため、水俣病患者連合の松崎重光副会長（８２）ら発言者２人のマイクの音を切ったと認めた。運用を事前にアナウンスする予定だったが、司会を担当した木内哲平室長は記者団に「読み飛ばした」と説明。発言中に音を切る行為は「不信感を与え、不適切だった」と述べた。
　松崎さんは共同通信などの取材に「悔しい。もう少し他に方法はなかったのか」と述べた。
　また、患者・被害者らの団体は７日、発言を途中で制止された行為は「被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙」だと抗議した上で、環境相に謝罪を要求する方針を明らかにした。意見交換の場を改めて設けることも求めた。要望書を送付したという。
　要望書は「環境省が行うべきは、被害者たちに真摯（しんし）に向き合い、施策を具体化すること」だと指摘。被害者団体の一つ「水俣病不知火患者会」の元島市朗事務局長は、国の被害者救済を巡る訴訟で原告の水俣病罹患（りかん）を認める判決が３地裁で相次いだことに触れ「被害者の声を無視するようなやり方は許されない」と強調した。
　林芳正官房長官は７日の記者会見で「関係者の意見を丁寧に聞く重要な機会に、不快な気持ちにさせてしまい適切だったとは言えない」とした。