有料

PFAS「水道水では低減」 米軍、基地調査を拒否 水源汚染の実態を無視 沖縄


PFAS「水道水では低減」 米軍、基地調査を拒否 水源汚染の実態を無視 沖縄
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)検出を受けて県が米軍基地内の立ち入り調査を申請していることに対し、水道水の段階では汚染による影響が低減されていることを理由に対応が不要だとして、在日米軍が立ち入り調査を拒否していることが11日、日米関係者への取材で分かった。関係者によると、米軍は11日までに立ち入り申請に対し、初めて文書で日本側に回答した。

 汚染状況が続く中、県など自治体が低減に取り組んでいる実態を無視し、責任を放棄しようとする米軍の姿勢が改めて露呈した。

 関係者によると、米軍が立ち入りを拒否したのは嘉手納基地とキャンプ・ハンセン、普天間飛行場。米軍は回答内容を日本側から公表するよう求めているが、日本政府は対応を保留している。

 米軍は、嘉手納基地については県企業局がPFASが高濃度で検出された水源からの取水を止めていること、ハンセンについては金武町が地下水の取水から企業局水に切り替えたことを挙げ、PFASを低減した水を供給できているとして対応不要とした。普天間飛行場については、湧き水が水道水源になっていないと主張した。

 県企業局はPFAS対策費として2016~22年度の間に約26億円を費やした。このうち防衛省や厚生労働省からの補助を省いた企業局負担は約12億円だった。今後10年間で80億円以上が必要になると見込み、水道料金値上げの一因にもなるなど、負担は県民に重くのしかかる。

 金武町は地下水を取水して県企業局の水との混合で供給していたが、取水停止を余儀なくされた。金武、並里の2区には送水管工事に約2億3500万円を投じて地下水の取水を中止し、企業局水のみに切り替えた。

(明真南斗、知念征尚)