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個人事業主ら対象外 日本版DBS 実効性に懸念


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 衆院本会議で9日に審議入りした「日本版DBS」創設法案は、教育や保育現場での子どもの性被害を防止するのが狙いだ。性犯罪歴確認など雇用主側が子どもの安全確保を担う。フリーランスのベビーシッターや家庭教師といった個人事業主のほか、不起訴の事案は日本版DBSの対象外のため、実効性に懸念が残る。
 法案は、公的な監督の仕組みが整っていない学習塾やスポーツクラブなど民間事業者は「認定制」とした。国に認定されれば、性犯罪歴確認など被害防止に取り組んでいると保護者らにアピールできるため、こども家庭庁は多くの事業者が認定制に参加すると踏む。
 ただ、雇用されていない個人事業主は含まれていない。性被害の当事者らでつくる団体の担当者は「性犯罪歴のある人が今後、個人事業主として働いて性暴力を行う恐れがある」と不安視する。
 刑法などの法律違反に加え、痴漢や盗撮といった自治体の条例違反が性犯罪歴の確認対象となった。行政による懲戒処分のほか、犯罪を認定する証拠がない「嫌疑なし」や被害者と示談が成立したため「起訴猶予」という形で不起訴になった例は対象から外れた。
 一方、性犯罪は初犯が9割を占める。法案は、性犯罪歴がなくても子どもの訴えから雇用主側が「性暴力の恐れがある」と認めた場合に配置転換などを義務付ける。ただ幼い子どもや障害のある子どもは被害に気付かなかったり、言い出せなかったりするケースも多く、課題となる。