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連休人出、全国88%で減 主要都市60地点調査 国内居住者、遠出控えも


連休人出、全国88%で減 主要都市60地点調査 国内居住者、遠出控えも 全国主要都市60地点の人出合計
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 大型連休期間の国内居住者に限った人出が、全国主要都市の駅周辺60地点の88%に当たる53地点で前年に比べて減ったことが11日分かった。新型コロナウイルス感染症が昨年の連休明けに5類へ移行、今年は移行後初の大型連休で好天にも恵まれたが、人々が遠出を控えていた状況が浮かび上がった。円安に伴う物価高による節約意識の高まりや、インバウンド(訪日客)の増加を受けた宿泊費上昇が響いたとみられる。地方都市の下落が目立つ中、新幹線が延伸した福井は好調だった。
 IT企業クロスロケーションズ(東京)が47都道府県から主要60駅を抽出。駅周辺の半径500メートルの来訪数データを推計し、速報値を共同通信が分析した。今年の大型連休期間の土日祝日の平均値を、前年の土日祝日の平均値と比べた。日本で普及するスマートフォンアプリ利用者の位置情報を基に集計しており、訪日客は含まない。
 最も落ち込みが大きかったのは札幌で15・8%減。観光の拠点となる地方の政令指定都市の減少率が大きく、仙台と名古屋も2桁マイナスだった。訪日客に人気の京都も、国内居住者に限ると7・7%のマイナス。東京・新宿も5・7%減だった。那覇は8・8%減だった。
 増加率が最大だったのは福井で8・9%のプラス。このほかに増えた6地点はいずれも小幅なプラスにとどまった。
 60地点の人出を合計すると1日平均982万2900人で、前年の1052万6300人から6・7%減少した。コロナ禍が深刻だった2020年との比較では3倍となったが、コロナ前の19年からは26・0%減った。円安を背景に実質賃金の減少期間が24カ月に達し、過去最長を更新。円安は訪日客増加とホテル需要拡大を促し、23年度平均の全国消費者物価指数で宿泊料が前年度比25・5%上昇するなど、旅行費用がかさむようになった。
 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「電気代や食品価格は上昇しても必需品であり減らすに減らせない。レジャーに節約の圧力が強まり、移動距離が短い近くの行楽に移ったのではないか」と指摘した。