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裁判記録一部公開へ 沖縄返還密約事件 答申受け外務省


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 外務省が、沖縄返還に伴う日米密約を報じて記者が逮捕された「西山事件」の裁判記録に関し、政府の公文書管理委員会の答申に従い、一部の閲覧を認めたことが13日、政府関係者への取材で分かった。同省は2022年8月に閲覧を認めない決定をしたが、公文書管理委は今年3月、閲覧可能にすべきだと答申していた。ただ外務省側は取材に対し、閲覧を認めた対象を明らかにしていない。
 答申によると、閲覧可能にすべきだとしたのは、裁判記録や米側との関係を記載した3ファイル。外交史料館に移管され「特定歴史公文書等」になっている。
 外務省は閲覧請求に対し「個人の権利権益を害する恐れ」「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れ」を理由に、一部の閲覧を認めなかった。
 管理委は公判調書や被告らの意見陳述書、冒頭陳述書などについて「公にしても秩序の維持に支障を及ぼす恐れがあると認められない」と判断。個人情報を含む記録や供述調書は引き続き非開示が妥当と指摘していた。
 事件は、毎日新聞記者だった故西山太吉さんが、外務省の女性事務官に機密公電の漏えいを働きかけたとして、国家公務員法違反容疑で逮捕、起訴された。