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現場任せにしない対応を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 中教審特別部会は現行の給与制度を維持した上で、教員の長時間労働是正を目指すべきだと提言した。若手支援や働き方改革など内容は多岐にわたるが、国には業務量に見合った人員配置を進めるなど、現場の努力任せで終わらない対応が求められる。
 特別部会で焦点になったのは、処遇改善と残業時間削減をどのような手段で実現するかだった。
 一部の教育関係者からは、残業代の代わりに月給に「教職調整額」を上乗せする現行制度が長時間労働の要因だとして、廃止を求める声があった。だが特別部会は「自発性・創造性」という教職の特殊性を理由に、制度転換を否定。その上で、管理職のマネジメント能力向上による働き方改革の加速や教科担任制の拡充など、残業時間削減に向けた総合的な対応を求めた。
 現場の自助努力には限界があり、教員定数の改善や業務の見直しを求める声は切実だ。教職調整額の引き上げが、「その分働かせていい」との風潮につながらないかとの懸念も根強い。
 提言は、将来的に残業時間を20時間程度に縮減すべきだとした。日々子どもたちと向き合い奮闘する教員の思いに応えるためにも、文部科学省には実現に向けた具体的な行程の提示と政策の効果検証が求められる。