有料

1兆円規模増資検討 農林中金 外債含み損、赤字5000億円


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 農林中央金庫(農林中金)が1兆円規模の増資を検討していることが、19日分かった。米国債など外国債券の運用で膨らんだ巨額の含み損を処理した上で、増資により財務の健全性を確保する狙い。この処理で2025年3月期の純損益は5千億円規模の赤字に転落する恐れがある。
 今後、主な出資者である農業協同組合(JA)などと具体的な増資の方法を協議する。
 増資は返済の優先順位が低く、一部を自己資本とみなせる「劣後ローン」などを活用するとみられる。含み損を抱えた外債は売却して収益性が高い資産に入れ替える。農林中金の資本金は23年12月末時点で4兆401億円だった。
 農林中金は低金利の日本国債よりも利回りが高い米国債などの運用に注力してきたが、米国は22年3月以降、インフレ対策で急ピッチの利上げに転じた。
 国債は利回りが上がると価格が下がるため、農林中金が過去に購入した米国債など債券の含み損は約1兆9千億円に拡大していた。
 農林中金は国内メガバンクなどに比べて貸出金が少ない一方、有価証券運用での外債の比率が高い。利上げ基調の局面で収益が悪化しやすい。