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首相、企業献金禁止を拒否 予算委論戦 野党、政活費「不透明」


首相、企業献金禁止を拒否 予算委論戦 野党、政活費「不透明」 衆院予算委の集中審議で答弁する岸田首相=20日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相は20日の衆院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、企業・団体献金は「禁止するのでなく透明度を上げるべきだ」と述べ、野党の禁止要求を拒否した。政策活動費の使途の項目を報告させる自民案について「透明性向上が図られ、国民の疑念払拭に資する制度だ」と意義を強調した。野党は、政策活動費の領収書を必要としない案で「不透明なカネを温存しようとしている」などと批判した。
 各党の規正法改正案は22日の衆院政治改革特別委員会で審議が始まる。予算委は前哨戦となり、自民案に質疑が集中した。
 首相は自民案を踏まえ「今国会で確実に改正を実現しなければならない」と意欲を表明した。
 立憲民主党の野田佳彦氏は自民案を「一番遅く、一番薄っぺらい。事件の反省がない」と非難。企業・団体献金の禁止を「平成の政治改革の積み残し」として、言及のない自民案を切り捨てた。共産党の塩川鉄也氏は企業・団体献金で政策がゆがめられると指摘したが、首相は否定し「多様な収入の確保は政策の中立性やバランスの点で重要だ」と理解を求めた。
 パーティー券購入者名の公開基準額については、パーティー券は対価と位置付けられ寄付とは性格が異なると説明し、現行「20万円超」から「10万円超」に引き下げる自民案が適当だと訴えた。寄付の公開基準と同じ「5万円超」にする必要性を容認しなかった。
 日本維新の会の青柳仁士氏は自民案に対し「国民が求めているのは政治とカネの汚い関係の一掃だ」と政策活動費の領収書公開を迫った。首相は「個人のプライバシーや企業の営業秘密」を理由に慎重姿勢を見せ、使途報告の在り方は各政党が内規で定めることになるとの見解を示した。