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「育成就労」衆院を通過 外国人材の長期滞在促進


「育成就労」衆院を通過 外国人材の長期滞在促進 育成就労制度のキャリア形成イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を創設する入管難民法と技能実習適正化法の改正案が21日、衆院本会議で自民、公明、日本維新の会など各党の賛成多数により可決し、衆院を通過した。人権侵害の防止が不十分などとして、立憲民主党、共産党、れいわ新選組は反対した。参院に送られ、今国会で成立する公算が大きい。
 発展途上国に技術を伝える国際貢献を掲げた技能実習は廃止する。人手不足を背景に、安価な労働力として活用されてきた実態があった。
 新制度は、目的を「外国人材育成・確保」と明記し、人手不足の分野で外国人労働者を呼び込む。一定の技能があり、即戦力とされる特定技能1号水準の人材を原則3年間で育てる。特定技能と受け入れ分野をそろえて一体運用し、長期就労を促す。
 技能実習では原則禁止だった同じ業務分野で職場を変える「転籍」を認める。一つの職場で1年を超えて働き、一定の技能や日本語能力があれば可能とした。賃金の高い都市部へ人材が集中するとの懸念に配慮し、当面の間は分野ごとに最長2年まで転籍を制限する。
 転籍手続きから悪質なブローカーを排除するため、民間業者の関与を禁じる。技能実習で受け入れ仲介を担う監理団体は「監理支援機関」と名称を変え、外部監査人を設置し中立性を高める。
 将来的な永住者の増加を見込み、納税などの公的義務を故意に怠った場合は永住許可を取り消し、別の在留資格に切り替えられるようにする。
 衆院本会議の採決前の討論で、立民の鎌田さゆり氏は「ブローカーの介在や、家族帯同の長期制限など、根本解決に至らない点が色濃く残る」と問題視。
 共産の本村伸子氏は、永住許可取り消しに関し「日本人と同じように督促や差し押さえなどで対応すればいい。差別的、懲罰的なやり方だ」と批判した。
 衆院審議では与野党が修正を協議。監理支援機関の独立性を十分に確保することや、永住許可の取り消しにあたっては生活状況に配慮することなどを付則に追加した。