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拉致、20年帰国実現せず 家族高齢化、首相難路続く


拉致、20年帰国実現せず 家族高齢化、首相難路続く 2004年5月、会談する小泉首相(左から2人目)と金正日総書記(右から2人目)=平壌市郊外
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小泉純一郎元首相が2004年、北朝鮮による拉致被害者家族5人の帰国を実現させた2度目の訪朝から22日で20年となった。04年を最後に被害者らの帰国は実現しておらず、帰りを待つ家族の高齢化は進む。岸田文雄首相は金正恩朝鮮労働党総書記との会談実現を目指すが、難路が続いている。
 小泉氏は02年に初めて訪朝し正恩氏の父、金正日総書記(当時)と会談。拉致被害者の地村保志さん夫妻、蓮池薫さん夫妻と曽我ひとみさんの帰国につなげた。04年5月に再訪朝し、地村さんと蓮池さんの家族5人と共に帰国。同7月には曽我さんが家族3人と再会を果たした。
 日朝交渉を巡っては、北朝鮮が14年に横田めぐみさん=失踪当時(13)=ら拉致被害者を含む日本人に関する再調査を約束。しかし16年の北朝鮮の核実験を受け日本が独自制裁を強化、北朝鮮は調査を全面中止した。
 岸田首相は膠着(こうちゃく)状態を打開するため、昨年から自身直轄のハイレベルで協議を進めると繰り返す。今月11日の集会で「被害者家族や国民の間に差し迫った思いが強まっている。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、全力で果敢に取り組む」と訴えた。
 ただ正恩氏の妹、金与正党副部長は今年3月、拉致問題は解決済みだと主張。日本との交渉を拒否しており、対話の糸口は見えない。