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教員給与一律増に反論 財政審、赤字膨張を懸念


教員給与一律増に反論 財政審、赤字膨張を懸念 教員処遇改善に関する中教審と財政審の提言
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は21日建議(意見書)を発表した。中教審特別部会が公立学校教員の残業代の代わりとなる「教職調整額」を一律10%以上に引き上げるよう求めたのに対し、建議では各教員の負担に応じためりはりある給与体系にするべきだと反論。財政赤字の膨張が懸念されるとして一律増に慎重な立場を示した。
 政府は2024年度内に教員給与の改善を盛り込んだ改正法案を国会に提出する方針だが、制度の詳細を巡り、年末の予算編成でも焦点となる。
 建議では「勤務実態を踏まえれば、一定の処遇改善を検討する必要がある」として、教員給与の改善の重要性は認めた。ただ一律の引き上げは、過度な残業による長時間勤務を固定化する恐れがあると指摘。業務改善につながらないとの見方も一部にあるため、建議では、負担が大きい主任教員の手当引き上げなどを提案。実態に応じた給与体系が必要だとした。
 中教審は13日、残業代の代わりに上乗せする月給4%相当の現行の教職調整額を、10%以上に上げることを提言した。24年度予算の公費ベースでは約1440億円充てているが、10%にした場合は約2160億円に増える。ほかに専門教科を指導する教員らの拡充を求めており、公費負担が一層膨らむ可能性がある。
 このほか建議では、財政健全化目標についても提言した。政府は、25年度に国と地方の「基礎的財政収支(プライマリーバランス)」を黒字化させる目標を掲げてきたが、同収支の歳出からは利払い費が除かれる。日銀の政策転換で金利は上昇基調にあり、今後利払い費が拡大する可能性が高い。そのため建議では、利払い費も含め歳出を税収などで賄えているかどうかを示す「財政収支」の指標を用い、赤字縮小を進めるべきだと訴えた。