自民党派閥裏金事件に端を発した政治資金規正法改正の国会審議が、表面化から半年近くたちようやく始まった。規正法の目的は政治活動が国民の監視と批判の下に行われ、公明と公正を確保することだ。この原点に立ち返って議論し、失われた信頼を回復する必要がある。
規正法は「政治とカネ」の問題が起きるたびに改正を重ねた。それでも規制をすり抜ける数々の不備が残存するために「ザル法」と指摘され、近年は放置されている。
自分に都合のいい制度を温存したい議員心理に加え、収支構造など各党が抱える事情はさまざまだ。主張が対立するのは当然で、論点も多岐にわたる。修正協議が難航するのは間違いない。
ただ信頼を失墜させた自民が数の力を背景に主張を押し通したり、合意形成を諦めたりすれば、政治全体への不信が増幅しかねない。与野党が歩み寄り、実効性ある制度を構築する。信頼回復への岐路に立っていることを、一人一人の国会議員が自覚するべきだ。
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公正確保の原点返って
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琉球新報朝刊
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