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性犯罪歴確認法、成立へ 日本版DBS 子の被害防止、就業制限 学校や保育所に義務


性犯罪歴確認法、成立へ 日本版DBS 子の被害防止、就業制限 学校や保育所に義務 日本版DBS創設法案ポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」創設法案は23日の衆院本会議で全会一致により可決、衆院を通過した。参院での審議を経て、今国会で成立する見通し。学校や保育所などに確認を義務付け、性犯罪歴がある人は、刑終了から最長20年採用されないなど就業を制限する。子どもの被害が後を絶たないことが背景。個人事業主や、下着窃盗などの犯罪は対象に含まれない。
 性犯罪歴がない人でも、雇用主側が子や親の訴えから「性加害の恐れがある」と判断すれば、配置転換など安全確保措置が必要。乱用の懸念があり、政府は今後、判断基準のガイドラインを作る。参院審議では就労希望者らの職業選択の自由や、加害者更生との兼ね合いが議論となりそうだ。
 性犯罪歴の確認や安全措置は、行政の監督の仕組みがある学校や幼稚園などに義務付ける。学習塾や放課後児童クラブなどは任意の「認定制」。国の認定を受けた事業者は同様の義務を負い、広告表示が可能となる。
 認定を受けない事業者の他、フリーランスの家庭教師など雇用関係を持たない個人事業主は今回の枠組みから外れる。
 確認の対象は有罪判決が確定した「前科」に限定。不同意性交罪などの刑法犯に加え、痴漢や盗撮といった自治体の条例違反も含む。照会期間は拘禁刑(懲役刑と禁錮刑を2025年に一本化)で刑終了から20年、罰金刑は10年。ストーカー規制法違反などは含まない。DBSの情報照会システムはこども家庭庁が構築。雇用主側が申請する。性犯罪歴があれば、同庁はまず本人に通知。就業を希望する場合、雇用主側に「犯罪事実確認書」を交付する。内定を辞退すれば、交付しない。新規就労のほかに現在働いている人も対象。性加害の恐れがあると判断した人には(1)子どもと接する業務からの配置転換(2)子どもと2人きりにならないようにする―などの安全措置を取る。難しい場合は最終手段として解雇も許容されうる。
 22日の衆院特別委員会では、性犯罪歴を確認する対象拡大の検討を求める付帯決議を採択した。
 日本版DBSはベビーシッター仲介サイトに登録した男2人が20年に逮捕された事件をきっかけに創設機運が高まった。