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台湾海峡、急速に懸念拡大 24年版防衛白書、素案判明


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府の2024年版防衛白書の素案が23日、判明した。中国と台湾の軍事バランスの変化を「中国側に有利な方向に急速に傾斜」と表現。台湾海峡情勢を「国際社会全体で急速に懸念が高まっている」と分析した。北朝鮮の核・ミサイル開発は「質的な意味での能力向上に注力」しているとした。白書は7月中に閣議に報告される見通し。
 中国に関しては、22年に決定した国家安全保障戦略の「これまでにない最大の戦略的挑戦」との位置付けを踏襲。台湾周辺で活発化する軍事活動を通じ「既成事実化と実戦能力の向上を企図している」と指摘した。ロシアとの戦略的連携には「安全保障上の強い懸念」を示した。
 北朝鮮の固体燃料型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」や軍事偵察衛星の発射は「装備体系の多様化や、核・ミサイル運用能力を補完する情報収集・警戒監視・偵察手段の確保」を図っているとした。白書では、安保戦略など関連3文書に盛り込んだ反撃能力(敵基地攻撃能力)保有や抑止力の意義をコラムで詳しく説明する。陸海空3自衛隊を一元的に指揮する、24年度末発足予定の「統合作戦司令部」は、平素から領域横断作戦の能力向上が可能になると意義付けた。