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柔軟な働き方 後押し 職場理解、機運醸成が重要  改正育児・介護休業法成立


柔軟な働き方 後押し 職場理解、機運醸成が重要  改正育児・介護休業法成立 育児・介護休業法などの改正法ポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 子育てと仕事の両立支援を強化する改正育児・介護休業法が24日成立した。柔軟な働き方を後押しする仕組みが整う道筋がつき、既に対策を進めていた企業は歓迎の意向を示す。だがテレワークや短時間勤務には職場での理解が欠かせず、子育ての当事者は機運醸成も重要だと訴える。 (1面に関連)

取り組み

 資生堂の国内グループは男性社員の育休取得率が100%。担当者は法改正により「柔軟な働き方をすることが当たり前だとの意識が社会全体に浸透する」と期待感を示した。「制度だけでなく、育児を体験できる講座を開くなど利用につなげるための環境作りも大切だ」とも述べた。
 伊藤忠商事は、2013年から出社時間と退社時間を早める「朝型勤務」を導入。夕方以降に子どもと過ごす時間を長く取れるなど好評で、業務効率化にもつながった。担当者は「世代間で考え方に差があるため、社員全員の意識を変える必要がある」と話した。
 経団連の十倉雅和会長は「男性の育休取得が重要だ」と強調。男女が対等な立場で家事や育児のための休業を取得できる取り組みを進めるよう会員企業に求めてきた。関係者は今回の改正で「必要な措置が盛り込まれた」と評価した。
 厚生労働省の22年度委託調査によると、柔軟な働き方を希望する女性正社員の割合は子どもの成長に伴い増加。「末っ子が生まれてまもなく」は10・3%だが「小学校低学年の間」は53・0%に上る。男性正社員は、子どもがどの年齢でも4~5割が希望する。柔軟な働き方を通じ、両立を望む人は目立つ。あらゆる業界が人手不足に直面し人材獲得競争は激化。企業が両立支援を重視する流れは強まりそうだ。

「小1の壁」

 「選択肢が増えるのはありがたい」。神奈川県で保育園の長男(5)を育てながら第2子を妊娠中の女性会社員(36)も歓迎する。ただ新たな仕組みが、どこまで役立つかは分からない面があるとも感じている。
 出産準備をしつつ、テレワークをしている。法改正でさらにテレワークをしやすくなると見込まれるが「職場の理解がなくては、そういう選択はしづらい」と指摘。形だけで利用できない企業が出てくるのではないか。使うのは女性ばかりにならないか。昇進に響かないか疑問は尽きない。
 残業免除の申請は「小学校入学前まで」に期間が延びる。ただ子どもが小学校に入学すると、放課後児童クラブ(学童)に預けられる時間が保育所より短くなるのに伴い、両立がさらに難しくなる「小1の壁」が指摘される。来春に長男の入学を控え、女性は不安を抱えている。「入学直後が大変だと聞く。入学の年まで含め申請できるようになるとさらに助かるのですが」。実感を込めた。