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蓮舫氏「自民一体」対決鮮明 小池氏側は人気陰りに危機感


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 7月投開票の東京都知事選に立憲民主党の蓮舫参院議員が27日、名乗りを上げた。政治資金パーティー裏金事件で逆風にあえぐ自民党と、3選を目指す意向の小池百合子知事を一体と見なし、対決姿勢を鮮明にした。小池氏は2期8年の実績を訴えるとみられるが、人気に陰りも見え、周囲に危機感も出始めた。

大勝負

 「わが党の参院議員だ。しっかり応援していきたい」。立民の大串博志選対委員長は27日、蓮舫氏を全面的に支援する考えを示した。
 立民などは2月から、都知事選に誰を擁立すべきか協議を重ねてきた。「女性候補が望ましい」との意見もあり、常に蓮舫氏の名前は挙がっていたという。
 東京選挙区選出で知名度の高い蓮舫氏は、国会で舌鋒(ぜっぽう)鋭く、時の首相に迫る論客だ。2009年発足の民主党政権では、政府予算の無駄を洗い出す「事業仕分け」の中心人物として注目を集め、行政刷新担当相も務めた。
 その蓮舫氏が現職知事と激突する大勝負に出る判断を下した背景には、4月の衆院東京15区補欠選挙がある。
 小池氏が擁立を主導した候補者は敗れ、立民公認の新人が当選。立民関係者は「選挙に強いと言われた小池氏の神通力に陰りが見え始めた」と踏む。

リセット

 「政治とカネと自民党、自民党の延命に手を貸す小池都政をリセット」。蓮舫氏は出馬表明の記者会見後、X(旧ツイッター)に早速投稿した。
 小池氏が17年に希望の党を設立した際、「日本をリセットするために党を立ち上げる」と訴えたのを意識したかのような表現だ。小池氏が近年の東京の首長選で自民推薦候補を応援した経緯を踏まえ、小池氏と自民の接近を印象付け、自民派閥の裏金事件に批判的な有権者の支持を引き付ける狙いが透ける。
 26日投開票の静岡県知事選で、野党系新人が自民推薦候補を退けた結果も、蓮舫氏への追い風だと受け止める向きもある。立民ベテランは「これで小池氏は自民の支援をもらうかどうか悩みに悩むだろう」と語った。

先手

 「報道でうかがって、詳しいこともよく存じておりません。これからもいろんな方々が名乗りを上げられるのかなと思っています」。一方の小池氏は27日、視察に訪れた八丈島の空港で報道陣にこう応じた。
 告示6日前に出馬表明した前回選挙とは状況が異なり、今月29日開会の都議会定例会中の早い段階での表明が有力視される。統一候補を決めきれずにいた立民、共産など野党をけん制する狙いもあると見られていた。
 だが蓮舫氏の立候補表明で、先手を打たれた形となった。小池氏周辺は「ダブルスコアでの勝利はないだろう。競り合うかもしれない」と警戒。一方で「蓮舫氏が出て投票率が上がれば、若い層の支持が高い小池氏に有利だ」とも話した。